- 三価アルコール
- 安全性が高いが、稀に合わない人もいる
- 主な配合目的は保湿・溶剤/抽出溶媒・温感付与
グリセリンとは?
グリセリンは、3個のヒドロキシ基(-OH)を持つ三価アルコールで、多価アルコールの一種です。医薬部外品では「濃グリセリン」の表示名でも使用されます。
化粧品用途のグリセリンは、石鹸を作る際の副産物など、油脂を加水分解して得られたものを使用するのが一般的です。原料となる油脂は、ヤシ油やパーム油、牛脂などが使用されます。
しかし、医薬品では純度の高さが求められることから、プロピレンを原料に化学合成したグリセリンが使用されることもあります。
グリセリンの性状は無色透明で粘り気のある液体で、水とよく混ざり、空気中の水分を引き寄せる「吸湿性」が高いことが特徴です。
グリセリンの配合目的
配合目的
- 保湿
- 溶剤・抽出溶媒
- 温感付与
グリセリンの配合目的は大きく3つです。
保湿
グリセリンは、水分を引き寄せて保持する働きが強く、角層の水分量を高める目的で配合されます。
構造が似ているBGやDPGと比べて、保湿・保水効果がもっとも高いことで知られています。
しかし、配合量が多くなると、製品に粘り気やべたつきが生じて、使用感が悪くなることがあります。そのため、製品に求められる使用感に応じて、ヒアルロン酸など他の保湿成分と組み合わせて使用されることが一般的です。
溶剤・抽出溶媒
グリセリンは水やエタノールと混ざりやすく、溶剤としても使用されます。
また、植物エキスなどの抽出溶媒として利用されることもあります。
温感付与
マッサージクリームなどの温感化粧品の、温感付与にもグリセリンが多用されています。
これは、グリセリンが水と混ざるときに発熱する性質を利用したものです。
特に、成分表示の一番目にグリセリンが書かれているときは、温感付与を目的とした配合のことが多いです。
グリセリンの安全性
グリセリンは化粧品に長年使用されてきた成分で、日本でも明治時代には化粧水に配合されていた記録が残っています。〔1〕
また、皮膚に対する安全性についても、さまざまな試験や評価が行われており、一般に皮膚刺激性や感作性が低く、安全性の高い成分と考えられています。
たとえば、2019年に発表された論文によると、皮膚炎患者420人を対象とした実験では、1名に陽性反応が認められ、残る419人には陽性反応が認められなかったとされています。〔2〕
※参考文献:
〔1〕本の万華鏡
〔2〕Becker LC, et al.(2019)Safety Assessment of Glycerin as Used in Cosmetics
グリセリンが肌に合わないことがあるのはなぜ?
現時点では明確な根拠が見つけられない
グリセリンは安全性の高い保湿成分ですが、肌に合わないと感じる人もいます。
私がこれまでに見てきた口コミやSNSの投稿では、脂性肌やニキビ肌の人に、グリセリンが合わないという声が目立ちます。
特に、高濃度のグリセリンを配合した製品で、肌荒れやニキビの悪化を感じる人が多い印象です。
私自身も、皮脂分泌が活発な混合肌のときは高濃度のグリセリンで肌荒れが起こる一方、皮脂量が不足しがちな乾燥肌のときには、グリセリンの含有量が多いスキンケアを問題なく使えた経験があります。
しかし、なぜこうしたことが起こるのかについては、根拠となる研究データを見つけることができませんでした。
グリセリンのアクネ菌への影響に対する研究
グリセリンによる肌トラブルに関係しそうな研究では、アクネ菌の繁殖に対する影響を調べたものがあります。
7種類のアクネ菌株を対象とした実験では、グリセリンの添加によって一時的に繁殖が抑えられたものの、のちに回復したとされています。特に、ニキビとの関連が指摘されているIA1型菌株の回復が顕著という結果です。〔3〕
ただし、この実験はヒトの皮膚で実施したものではありません。実験結果そのものも、現時点ではニキビに対してよいとも悪いとも判断できないものです。
※参考文献:
〔3〕Funatsu O, et al.(2025)Effects of common cosmetic ingredients on growth of dominant human skin inhabitant Cutibacterium acnes
グリセリンによる角層の水分量の増加が影響する可能性
ここからは私個人の仮説になりますが、グリセリンによって角層の水分量が増えすぎることが、肌荒れやニキビの悪化につながっている可能性も考えられそうです。
この考えに至ったロジックはこうです。
角層の水分が過剰に増える
↓
肌がふやけてバリア機能が低下
↓
刺激に弱くなることで、炎症が起こりやすくなる
この辺りのことについては、新しいことが分かり次第、追記や訂正で対応します。